「１２」は「１＋２＝３」となり、「３」の系列に属し、かつ「３」の数字の逆相になります。
元来「３」という数字は、創造性や果てしない生産性を示していたので、その逆・・すなわち外ではなく、内面に向かって発揮されるわけです。
内向きの生産性とは、頭脳的なアイディア、想像的なイメージの量産、
理解力の発達、自己理解などを意味しており、あまり外交的ではありません。
手足という行動する手段を封じられ、
じっとしている中で解決の道を探さなくてはならない状況です。
また「吊るされた人」は逆さ吊状態ですので、
当然、足は天に向いています。
すなわち、天から流出する性質を示します。
地上・・現実世界にアイディアを引き下ろすこと、抽象的な考えから現実の具体的な考えや活用方法へと意識が向いていることです。
「上から引き下ろす」とは、参考書や知識を持っている人に尋ねるのではなく、
自分の内面にある潜在意識に問いかけることを意味します。瞑想や黙考のようなイメージでしょうか。
また「１２」は鎮魂を表す数字で、活動的な時間の流れを、停止した空間に閉じ込める意味も含んでいます。
この「吊るされた人」は身動きができませんから、
外に向かっての肉体的活動は停止して、
内面の精神活動だけが自由に活動しているという意味もあり「１２」とマッチします。
「吊るされた人」は大地に寄りかかることができず、
大樹に身を寄せることもできません。
中空の状態で、自分の考えを作っていかなければなりません。
これは集団社会の偏りから自分を解放することとなります。
地域性や集団の考えに捕らわれず、魂としてどうか正しいか考え、
自分本来の生き方を模索・創造してゆくことです。
ウェイト版タロットもマルセイユ版タロットも基本的に「吊された男」の構造は同じですね。
ウェイト版タロットの「吊された男」を中心に見ていきましょう。
吊されている樹は葉が生えています。
つまり「生きている」ということです。彼の吊されている行為は、いずれ報われることの暗示です。
彼は水色の服に赤いタイツ姿。冷静と情熱の統合ですね。
足は片方が縛られ、もう片方は折り曲げられています。数字の「４」に見えませんか？すなわちここでも４大元素を象徴しています。さらに手は後ろで縛られていますが、これも「３」に見えませんか？
キリスト教の三位一体です。
彼の顔は苦痛に歪んでいません。しかも後光が射しています。
そうです。
彼はイエス・キリストの象徴なのです。
ですから「忍耐」「我慢」「犠牲」というキーワードが出てくるはずです。
また逆さに吊されていることは、逆さにものを見ることと同じです。
逆転の発想。ものの見方を違う角度で見てみよ！という啓示ですね。
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