「魔術師」は、絵柄として男性が描かれて、
「０」番の愚者と対比を強く表しています。
机の上には４大元素である「ソード＝風」「カップ＝水」「ペンタクル＝地」「ワンド＝火」が置かれ、右手には「ワンド＝火」が持たれています。
「愚者」の彼は放浪するのを止めました。場所を決めました。
鞄を開き、テーブルの上に道具を広げたのです。
何かを創造するかの行為を始めたところです。
このアクションが数字の「１」に当たります。
「１」の数字は「行為の開始」を示します。
テーブルは４つの道具を使うための作業領域です。
テーブルを使う人間は、
その領域の面積の分だけ応用的な思考をすることが可能になります。
西洋占星術の「１」は牡羊座の第一ハウスで、
無意識の海から初めて生物が誕生したように、
新しい世界に対する恐れと期待に満ちた意識・・かなり原初的な意識を物語っています。
タロットカードの魔術師の「１」では、単純な意識というより、
すでに知恵がある・・魔術師としてのスキルのある・・者の業を示しているので、
ある程度の成長した人物が新しい環境で行為をスタートさせるようなイメージです。
魔術師の帽子には「無限記号」「８を横にした」模様が描かれています。
これは「無限」の可能性を示していると同時に、これから「１１」番目の「力」でも同様の模様があることから、「１」から「10」までと「11」以降までの分割のような意図を感じます。進化の流れが２つのステージがあり、各ステージでの成長のプロセスを暗示しているようです。
また逆にいえば、魔術師は立ち止まり４大元素を使って、限られたテーブルという領域で何かの行為をしていることから、愚者と比較して「不自由」「束縛」された状態とも言えます。
でもまだ、他の人物や動物、天使などがいませんから、単独での不自由とも言えます。
自分の行為によって抜け出せなくなった・・自由を削ったことによって、ここから進化のスタートが切られるようです。
「魔術師」には見るべきシンボルがたくさん有りますよね。
たとえば、地面に生えている「白百合」と「赤い薔薇」。
これは女性性と男性性の融合を示します。
白百合は聖母マリアの花ですから、慈愛や優しさ、受容的な面が強いです。
逆に「赤い薔薇」は大天使ミカエルの花でもあり、勇猛、行動力、決断、意志の強さを示唆します。
「薔薇族」はゲイのことですから、赤い薔薇が男性を暗示するのは容易にわかるでしょう。
また「魔術師」の頭に無限マーク（トリニティー）が浮かんでいますが、ベルトはウロボヌスの蛇です。
この白いウロボヌスの蛇も「無限」の象徴ですね。
左手は大地を指していますが、これは「ここに留まる」という意志の象徴です。
その連想から「集中力」も暗示されるでしょう。
着ている服も「白」と「赤」。
ここでも女性的な面と男性の面の統合を暗示していますね。
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